個性は自分が感じることそのもの

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高校生の頃、一人でお店でお茶を飲んだり食事をしたりできるように
なりたい、と思っていました。当時の私にとっては、それをするのに
慣れてなくて、少し勇気が要りました。今は、一人でカフェに入っても、
スマホを見たりしている人がたくさんですが、当時はそんなものは
ありませんでした。ただ、カフェや喫茶店でお茶を飲みながらぼーっと
したり、食べたいものを一人で味わってゆっくり食べたりしている、
それが自然にできるのが、私にとって大人であり素敵なことのように感じました。
「一人で味わっているその佇まいが美しい」、フランスのカフェでそういう
女性がいた、というような事が書かれてあった本か何かを当時読んで
素敵だと感じました。
だから、学校が終わってからや午後授業の無い土曜日、少しの勇気を出して、
一人で素敵だと思った場所へ行くようになりました。その勇気みたいなのは、
ほどなくして必要なくなりました。

一人で動く、ということの後押しをしてくれたと今振り返って思うのは、
山田詠美さんの「放課後の音符」という小説でした。
何十回も読みました(笑)
この本を読んで、「私、このまんまで良いんだ。それが、個性なんだ。」と
そう思いました。当時の私の中で、「個性的」というのがキーワードでした。
私はあまり目立たない子で、集団できゃあきゃあいうのも苦手で、そのことを
全然個性がない、暗いのではないか?と劣等感のように感じていました。
また、考え方や価値観が周りの人たちと結構違うことも何となく感じていました。
だけど、この本を読んで、自分の感覚、心地いいと感じるものが他人と
違っても、自分の感じることそのすべてが結局自分の個性なんだ、と
わかりました。当時の私は自分の「個性」がほしかったのです。
人と比べて劣等感があったから、それを欲したのだと思います。
そもそも、劣等感は人と比べるから出てくるものですね。だから、
自分が感じることそれ自体が自分の個性であると知った時、「(いろんな
感情の)集合体のこの私は、宇宙に他に一つとしてないんだ」と、
嬉しくて愛おしくなりました(笑)。目立たなくても、なじまなくても
ちゃんと「自分」(個性)があることを発見してとても嬉しかったのです。
そして、とてものびのび息ができるのを感じました。
本や言葉は人を救うのだなと思いました。

そう思って自分の個性のままのびのびしていたのに、大学4回生のある時、
「強い人」と言われて、「(他人の気持ちもわからないくらい)
気の強い人」と捉えてしまい、他人の言葉に弱い私は、
それではいけないんじゃないか、と思うようになって、
周りに同化しようとしたり感情移入してみたりするように
なりました。また、「強い人」が劣等感と感じ、
「目立たなくなりたい」と思う反面、誰かに認められたい、
と相反する気持ちが出てきたりで、結局いつも「他人の視線」
という意識があったと思います。
そうしているうち、今度は本当の「個」の自分がぼんやりするように
なって自分の気持ちがよくわからないようになってきました。
この事実に気づくのに10年以上もかかりましたが、今思えば、
「強い人」と言われた時、他人の気持ちがわからない、のではなく、
「気持ちはわかるけどその選択をしない」自分がいただけ、だった
のではないかと思います。
「強い人」とか「弱い人」っていうのは、今では、自分の考えや
意見をしっかり持った、という風に捉えられるようになりました。

昨年知名さんに、相手に瞬間的に同化する私を指摘し、
(個があるのに)もったいない、とリーディングしていただいたことを、
先日録音していたのを久々に聞いて理解しました。

「他人」の視線(他人はこう思うだろう、といったことです)を
意識して生きるのは、もう疲れたので山田詠美さんを読んでいた
頃の自分に戻ろうと思います(笑)。他人の意見を聞いたり影響を
受けるのは、これまでは自分の幅を広げる、と思っていましたが、
「人に認められたい」という弱さがあったため行き過ぎて
しまったようです。
他人の視線を基準に生きるのは、面倒だし、そもそも
あんまり格好よいものではないと思うようになりました。
だから、少々他人に理解できないと言われても、自分が
感じるまま、自分が素敵と思う感覚に従い、自分が格好悪いと
思うことはしない、という自分の感じでいこうと思います。そして、
それが大人の生き方なんだろうな、と30半ばになってやっと
そう思っています。

・・読み返してみると、本当は「小さな勇気の積み重ね」といった
ことが書きたかったのですが、話が脱線してしまいました(汗)
いつか書くかもしれません。


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